aiwip1819studies03

NEWS 2022 5/27

この度、RED AND BLUE GALLERYでは、辰野登恵子がパリの版画工房IDEMに於いて滞在制作した石版によるリトグラフ作品とその下絵となったドローイング作品、合わせて約30点を2期に分けて展示します。

aiwip18_web

AIWIP-18  lithograph 80×59(95×67)cm ed34  2011

 辰野登恵子が最後にパリの版画工房IDEMで滞在制作を行なった2012年から既に10年が過ぎました。油彩作品と並行してシルクスクリーンを筆頭に様々な版種に挑戦してきた作家は、2011年2月、自身初めて石灰岩の版によるリトグラフに挑戦するために一人パリへと向かいます。

 ピカソやマティス、シャガールなど巨匠達の作品を生み出したムルロー工房の流れを汲む由緒あるこの工房で作家は約1ヶ月間の滞在制作を行い、その成果として2011年9月に資生堂ギャラリーで「辰野登恵子展 抽象-明日への問いかけ」が開催されました。また翌年の2012年にも再度単身同工房を訪れ、前年と合わせ合計28点のリトグラフ作品を制作しました。このシリーズ作品はAt IDEM’s Workshop in Parisの頭文字をとり、それぞれ制作順にAIWIP-1からAIWIP-28とタイトルが付けられています。

  今、改めてこの作品群を見ると当時すでに十分な経験とキャリアを積みながら常に進化し続けることを厭わないこの作家が、その具象とも抽象ともつかない有機的で同時に何らかの構造物を想起させる唯一無二な絵画空間へ新たな展開やモチーフを獲得していることがわかります。またそれは後のペインティング作品へと当然引き継がれ更に進化していく事になったはずでした。

  本展覧会は作家のご遺族のご厚意により、これまであまり発表される機会のなかったAIWIPシリーズの下絵を特別にお借りすることがかないました。その多くは展示されることを前提に制作されたものではありませんが、作家がパリに旅立つ前にアトリエで描いたドローイングと完成したリトグラフを並べて鑑賞することで、当時の作家の新たな挑戦に賭ける熱意と完成に至るまでの迷いや葛藤なども垣間見れる絶好の機会となるでしょう。

 ぜひご高覧のほど、よろしくお願い申し上げます。

 

辰野登恵子

Toeko Tatsuno

1950 年 長野県岡谷市生まれ

1972 年 東京芸術大学美術学部絵画科油画専攻卒業

1974 年 東京芸術大学大学院美術研究科絵画専門課程油画専攻修了 

2004年 多摩美術大学教授

2014 年 逝去

 

主な展覧会

1979 年 「第 11 回東京国際版画ビエンナーレ展」東京国立近代美術館

1980年「Art Today’80 絵画の問題展 ロマンティックなものをこえて」西武美術館

1984年「現代美術への視点 メタファーとシンボル」 東京国立近代美術館/国立国際美術館

1987年「現代絵画の展望-平面と空間 第18回現代日本美術展」東京都美術館

1988 年「現代日本美術の動勢-絵画 PART2」富山県立近代美術館

1990 年「ミニマル・アート」国立国際美術館

1991年「昭和の絵画 第 3 部 戦後美術-その再生と展開」宮城県美術館

1994年「Japanese art after 1945: scream against the sky[戦後日本の前衛美術]」横浜美術館/グッゲンハイム美術館/サンフランシスコ近代美術館

            「アジアの創造力 ASIAN ART NOW第2部」広島市現代美術館

            「第 22 回サンパウロ・ビエンナーレ」ブラジル

    「第 3 回北九州ビエンナーレ-クイントエッセンス」北九州市立美術館

1995 年 「辰野登恵子 1986-1995」東京国立近代美術館

    「日本の現代美術 1985-1995」東京都現代美術館

    「水戸アニュアル’95 絵画考-器と物差し」水戸芸術館現代美術ギャラリー

    「戦後文化の軌跡 1945-1995」目黒区美術館ほか 

    「視ることのアレゴリー 1995:絵画・彫刻の現在」セゾン美術館

2000年「日本美術の 20 世紀-美術が語るこの 100 年」東京都現代美術館

2002年「未完の世紀:20 世紀美術がのこすもの」東京国立近代美術館

2004年「痕跡-戦後美術における身体と思考」京都国立近代美術館/東京国立近代美術館

2005年「20世紀絵画の魅力 空間を見つめるまなざし」豊橋市美術博物館

2007年「ねりまの美術 2007 油彩画と版画」練馬区立美術館

2008年「所蔵品による特別展示 田口コレクション-現代の美術 この30年、何が探求されてきたか? On Existence-在ることのあ・か・し」岐阜県美術館

    「第3回所蔵作品展 近代日本の美術」東京国立近代美術館

2009年「女性アーティストと、その時代 資生堂ギャラリー90 周年記念展」資生堂ギャラリー

2010年「水彩、ドローイング、版画-李禹煥・辰野登恵子」珍画廊/韓国(ソウル)

    「陰影礼讃 国立美術館コレクションによる」新国立美術館

2011年 「辰野登恵子展 抽象ー明日絵の問いかけ」資生堂ギャラリー

    「Girlfriends Forever!」トーキョーワンダーサイト本郷

    「T 氏コレクション-内外の近現代絵画と彫刻たち」BBプラザ美術館

2012年 「与えられた形象 辰野登恵子/柴田敏雄」国立新美術館

    「平成22年秋の有隣荘 辰野登恵子」大原美術館

     「GIVEN」ローレンス・ミラーギャラリー/ニューヨーク

2015年 「MOMAS コレクションIII 特集展示 辰野登恵子-まだ見ぬかたちを」埼玉県立美術館

           「君が叫んだその場所こそが本当の世界の真ん中なのだ。パリ・リトグラフ工房       idemから-現代アーティスト20人の叫びと囁き」 東京ステーションギャラリー

2016年 「特集展示 辰野登恵子」宇都宮美術館

    「辰野登恵子の軌跡―イメージの知覚化―」BBプラザ美術館

    「MOT コレクション コレクション・オンゴーイング」東京都現代美術館

     「練馬区立美術館コレクション展 シリーズ時代と美術 4 1990~2000 年代 辰野登恵子 《Untitled 92-8》を中心に」練馬区立美術館

2018-2019年「辰野登恵子 ON PAPERS: A Retrospective 1969-2012」埼玉近代美術館/名古屋市美術館

2019 年「辰野登恵子展-色彩と深化のプロローグ-」岡谷美術考古館

2022年「辰野登恵子―身体的知覚による版表現」BBプラザ美術館

 

受賞等

1996 年 第 46 回芸術選奨文部大臣新人賞

2013 年 第 54 回毎日芸術賞